JEEPのレストアで最後に残る難問が配線です。一度覚えてしまえば大したこ とはないのですが、中には電気屋で17万円掛けて誇らしげに語っていた方が いましたがぼったくりもいいところです! ところでオリジナルの配線も魅力のあるものです。戦時中にヒューズが切れて 探していたら命がいくらあっても足りませんから、当時はサーキットブレーカー なるものが3個付いていて切れてもすぐ回復するようになっていました。ここで 解説する配線は現在の器材を使用したシンプルな配線ですオリジナルにこだ わる方は笑いながら観てください。 |
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配線を区分して見ると分かり易くなりますので、@ダイナモ・レギュレータなどの 発電部、Aメインスイッチ・パネル、Bライト関係、C方向指示器・ハザードに分 けてみました。 |
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@発電部 | |
現代の発電機はオルタネータ(AC)にICレギュレータが付いて発電能力もアップ していますが、当時はダイナモとレギュレータがほとんど。GPW/MBも同様にダ イナモ(DC)が付いています。 |
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用語説明 | |
ダイナモ:直流タイプの発電機のこと。現在では発電効率の良い交流タイプ(オ ルタネータ)になっている。 |
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レギュレータ:ダイナモから送られてくる直流の電圧制御を行う所。発電 された直流 電流はエンジンの回転数で不安定な電流でその電流を一定の電 圧に なるように制御してからバッテリーやライト、エンジンへ送られます。 |
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ジェネレーター:発電機の総称として使われるが、良く発電機として間違って 使われることがある。(余計分からなくなってしまう) |
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純正(MB/GPW)のレギュレーターの場合はカットアウトリレーなるものが付い ていてダイナモの発電量がバッテリーの電圧を超えないとバッテリーと接続で きなくなっています。(当時はダイオードがなくバッテリーと直結状態ではダイナ モがモーターの様に回ってしまうため、逆流防止のためについている) もっと具体的に説明すると、バッテリーが6ボルトあったとすると、ダイナモがエ ンジンの回転により直流を起こします。その起電力が6ボルトを超えると、レギ ュレーターのスイッチが入って接続できるわけです。 ですからオリジナル配線の場合、イグニッションスイッチを介しないで直接接続 しても良いわけです。(下図、AMPから赤線でレギュレーターへ直結されてい ます) よく間違えるのは、レギュレーターをJ3用に変更した場合、MB/GPWマニュア ルの配線通りにするととんでもない間違いを犯してしまうことになります。 ダイナモ、レギュレータ間にはそれぞれB(バッテリー)・F・N・E(アース)の配線 端子がある。レギュレータにはコイルと低速作動ポイントと高速作動ポイント がありB-E間、N-E間の電圧差によりエンジンの低高速回転時の電圧を一 定に保つ働きと逆流防止機能がある。配線のポイントはイグニッションスイッチ から来る配線はレギュレーターへバッテリーからはダイナモへ配線すること。 良くバッテリーから直接レギュレーターへ配線してしまい、停車時常にバッテリ ーのアースを外さなければならない羽目になってしまいます。 |
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メインスイッチ・パネル | |
バッテリーからスタータースイッチを経てアンペアメーター(+)へ、ホーンへは サーキットブレーカーを通ってホーンの(+)※古いホーンは(+)(−)の端子 がそれぞれ付いている。アンペアゲージ(−)からはライトスイッチとイグニッシ ョンスイッチとレギュレーターへ接続する。ライトスイッチにはやはりサーキット ブレーカーが付いている。 ここでのポイントは、電線ヒューズをレギュレーターに使用しています。 めったには切れませんが保険みたいなものです。ホーンもダイレクト ですのでサーキットブレーカーが付いていますが、ヒューズが必要です。 |
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イグニッションスイッチからは、コイル経由でデスビーへ。もうひとつがサーキ ットブレ−カーを経由してFUELメーター(+)へ(−)からタンクゲージへ接続 |
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ここでのポイントはFUELメーターのアースの取り方です。パネルの裏側へメ ーターの取り付け金具が付きますが、この金具からボデーアースを取ってい ます。もうひとつのアースはタンクゲージ側のアースです。オリジナルは燃料 管がフィルターの入り口付近でボデーアースを取っていますが、タンクゲージ のネジ部を使用してアースを取ると確実です。 |
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サーキットブレーカー | |
初歩的な配線なので解説することはないのですが、よく理解する事で故障の原因を即座に発見することができるのです。 @メインスイッチを入れるとイグニッションコイルの一次コイルへ電流が流れる(ポイント閉じ時) Aセルを回してエンジンを回転させるとデスビーのローターが回りポイントに接断を繰り返す B一次コイルには12Vの低電圧が流れるが、ポイントで急に遮断されると約150Vの電圧になる。 Cすると二次コイルには約2万Vに電圧が上がり、プラグでこの高圧が火花を1-3-4-2の順で発生させる 故障の原因は断線が多いので、コード類の接続部のチェックが必要。次にポイントの接点不良となる。すなわち接点がカーボンや変形により接続不良になると電流が流れなくなり、高電圧が発生しない。最後にイグニッションコイルの不良が原因となる。コイル点検は「故障談議」参照 |
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